生体認証とは?特徴と種類、メリット・デメリットから導入のポイントまで

生体認証とは?特徴と種類、メリット・デメリットから導入のポイントまで

生体認証とは?特徴と種類、メリット・デメリットから導入のポイントまで

生体認証はあらゆる分野で導入されつつある、より高度なセキュリティを実現できる認証方法です。生体認証とはどのようなもので、どのようなメリットがあるのでしょうか。生体認証の特徴や種類、メリット・デメリット、選び方と導入のポイントなどをご紹介します。

生体認証とは

生体認証は現代社会のあらゆる分野に取り入れられています。生体認証はどのような特徴と種類があるのでしょうか。

体の特徴から個人を認証するシステム

生体認証とは「生体特徴計測による個人認証」のことです。生命を意味するバイオ、測定方法を意味するメトリクスを組み合わせて、バイオメトリクスとも呼ばれます。

生体認証は、顔や指紋など人間の体の一部にある、本人だけの生体情報を使って識別を行う認証方法です。

その歴史は古く、紀元前6000年には中国やアッシリアで指紋が個人認証に用いられていたという説もあります。20世紀には指紋のデータベース化が行われ、犯罪者の照合だけでなく入退室管理にも使われるようになりました。その後、インターネット網の発達とそれを利用する機器の進化により、生体認証は民生機器にも急速に進展しています。

現代では、金融機関のATM端末、スマートフォンやPCなど、生体認証は日常生活に幅広く浸透しています。

また、このような日常の利便性を向上させる使い方が浸透すると同時に、その重要性も認識されるようになりました。

生体認証の種類

生体認証は生体特徴を計測しますが、さまざまな計測方法が実用化されています。次のような方法が、実際に生体認証に用いられています。

  • 指紋認証
    広く知られている生体認証で、使われている分野も広い認証方法です。指紋は人によって異なり、他人の指紋で認証されることはありません。事前に登録しておいた指紋と照合することで個人の特定ができます。指紋認証のセンサーは小型化が可能で、日常で身につけるものの認証にも応用されています。
  • 顔認証
    顔のなかで目や鼻、口などがどのような位置にあるかを読み取り、本人の顔データと照合して認証する仕組みです。顔をカメラに近づけるだけでよいため非接触で認証できます。
  • 虹彩認証
    瞳孔の周辺にある虹彩と呼ばれる部分は人によって異なります。この虹彩を読み取って認証するのが虹彩認証です。両目を使うことで、より精度の高い認証が可能になります。
  • 静脈認証
    手のひらや指の静脈のパターンを赤外線カメラで読み取り個人を特定する方法です。精度が高く偽装が困難なうえ、身体のコンディションの変化にも左右されにくいといった特徴があります。
  • 心電図認証
    個人によって特徴のある心電波形を利用して個人を特定する、新しいタイプの生体認証です。他の生体認証の多くは画像情報に頼りますが、心電図認証は画像情報を必要としないため、比較的低コストで導入できるといわれています。
  • 声紋認証
    声のパターンをデータとして保存し、個人を特定する認証です。スマートフォンの音声アシスタントや、スマートスピーカーなどに搭載されています。
  • 耳介認証
    耳の外から見える部分を耳介と言います。この耳介は大きさや軟骨の形状が人によって異なるため、生体認証として使われます。
  • 行動認証
    個人の行動の習性をデータとして収集し、照合する生体認証です。歩き方や筆跡、マウス操作などが認証データとして使われます。
  • DNA認証
    人の体の一部、表皮や髪の毛などから抽出したDNAから個人の特定をします。解析と認証に時間がかかるため日常生活での使用には向いていません。

このように、生体認証はさまざまな方法が確立されています。これらのうち2種類以上を組み合わせることで、より安全で確実な認証機能を持たせることができます。

生体認証のメリット

日常使っているものから犯罪捜査まで、さまざまな分野、機器で生体認証が使われています。このように生体認証が幅広く使われるようになったのはなぜでしょうか。それは、次のようなメリットが得られるためです。

(1)  セキュリティレベルを向上させる

生体認証は、本人の生体特徴を計測して認証します。「本人に限って可能」という条件を直接作り出すことができるため、なりすましのリスクが低いのが大きな特徴です。

パスワードのように忘れる心配もなく、同時にメモの紛失や流出のような人為的ミスも防止できます。

こちらの記事(※データインテグリティ(DI)推進時代におけるユーザー管理の重要性とは?)にセキュリティを向上させることによるメリットを詳しく解説していますので、ご覧ください。

(2)  手間なくストレスフリーな認証

パスワードの入力のような手間が必要なく、ユーザーにストレスを与えることなく認証システムを構築できるのも生体認証のメリットです。「確実で簡単」という両立の難しい条件を成立させることができます。

また、パスワードであれば使う場所や機器によって異なるものを設定するよう推奨されます。しかし、生体認証は自分の体という偽装の可能性が低いパスワードを持ち歩く状態と言え、別々のパスワードを用意する必要がありません。そのため、自分の体という共通のパスワードによってシングルサインオンが可能となります。

(3)  短時間で照合ができる

例えば、顔写真つきの身分証明書を提示して本人確認後に通過可能といった人の目による確認の場合、1人のユーザーごとに時間がかかり長蛇の列となる恐れもあります。

そういった場面で生体認証を導入すれば、1人ずつの照合は短時間で済み、ユーザーの利便性は飛躍的に向上します。同時に、受付側は待ち時間解消のために多数のゲートを用意する必要がなくなり、係員も減らせるため人件費の削減にもつながります。

ユーザーと企業双方の生産性を高める効果が期待できます。

生体認証のデメリット

このように生体認証にはさまざまなメリットのある反面で、注意しなければならない点、今後解決しなければならない問題点もあります。

(1)  身体的な特徴の変化への対応

生体特徴の測定結果を基準とする生体認証は、身体的な特徴が変化した場合に認証の精度が低下するという欠点があります。

ケガや老化、整形、化粧によっても認証ができなくなったり、精度低下したりといった可能性があります。

(2)  生体データの再登録が困難

もし、パスワードが流出したり盗まれたりした場合、パスワードを変更し登録し直すことでセキュリティは以前の状態に保たれます。しかし、生体認証の場合は、生体データが流出や盗難にあった場合にそれを変更することは困難で、不可能なものもあります。

このような場合には、その生体認証を使い続けることができなくなります。別の認証方法に変更といった対応が必要になります。

(3)  データ登録に対する抵抗感

公共性の高い場面での生体認証活用は、多くの人の生体データを集め登録しておく必要があります。このような個人情報の収集に対し抵抗感のある人も少なくありません。

高いセキュリティ対策があること、個人情報の流出は絶対にないことを保証できる仕組みが整っていなければ運用が難しいというのも、生体認証を運用するうえでの課題です。

生体認証の選び方と導入のポイント

このように大きなメリットがありつつ、運用には注意も必要な生体認証はどういった場面でどのような使い方が適しているのでしょうか。

生体認証のメリットを最大化するためには次のような点が重要です。

セキュリティのレベル

生体認証はパスワードのような認証方法に比べセキュリティレベルが高いものの、誤認証や情報の流出がゼロとは言い切れません。

生体認証の精度を上げ、より高いレベルのセキュリティを実現するためには、複数の認証方法を組み合わせることが有効です。異なるタイプの生体認証を使用するダブル認証方式だと、安全度と信頼性が大きく向上します。

複数の機器との連携

生体情報を読み取ってOKのサインを出す生体認証デバイスを通して生体認証を行う方法もあります。このような場合、そのデバイスが複数の機器と連携できなければメリットが低減してしまいます。

生体認証デバイスは連携の幅が広いものを選択することで、生体認証をより有効に活用できます。

使用環境に適した使い方ができるか

例えば、医薬品製造工場のクリーンルームでは人体からの異物発生を防ぐ特殊スーツを着用するため、指紋認証や顔認証ができない場合があります。その一方で、非常に高いレベルでの厳密な個人認証が求められます。

そのようなシチュエーションでも使用可能な生体認証としては、心電図で常時ユーザーを認証できるリストバンドタイプのウェアラブルデバイスがあります。幅広い場面で使えるシステムを最初から選んでおくことも、生体認証を有効に活用していくうえで重要です。

生体認証は安全性・利便性・生産性を向上させる認証システム

生体認証は、本人かどうかの照合を限りなくシンプルに実行できる認証システムと言えます。照合に必要なのは、常にある本人の体にある情報です。パスワードのように忘れたり紛失したりする恐れがなく、顔写真つきの身分証明書のように確認に時間を要しません。安全性・利便性・生産性を同時に向上させることのできる認証システムと言えます。

生体認証を選ぶ際には、これら3つのメリットを最大化できるシステムを選ぶことで、より高い効果が得られます。

なお、生体認証が利用しにくい環境であるクリーンルームでも使え、シンプルかつスピーディな認証と高度なセキュリティを実現可能な生体認証システムの一つが「Nymi Band(ニミバンド)」です。リストバンド型の生体認証ウェアラブルデバイスで、心電図と指紋を組み合わせた多要素認証となっています。Nymi Bandのより詳しい情報はこちらからご覧ください。