
生体認証ウェアラブルデバイス「Nymi Band」とSCADAソフトウェア「zenon」を連携し、ログイン・電子署名のセキュリティと信頼性を向上させる日本初の事例を紹介。
目次
医薬品製造におけるデータインテグリティの重要性
医薬品業界ではデータインテグリティ(Data Integrity)が厳格に求められます。
GMP(Good Manufacturing Practice)やFDA 21 CFR Part 11などの規制では、以下のような要件を満たすことが不可欠です。
- データの完全性(Integrity):改ざんや不正操作を防止
- データの信頼性(Reliability):記録の正確性を保証
- データの可監査性(Auditability):変更履歴の追跡が可能
しかし、従来の認証手段(パスワードやICカード)にはなりすましや不正アクセスのリスクがあり、医薬品製造現場のデータの真正性を完全に担保することは困難でした。
そこで登場したのが、生体認証ウェアラブルデバイスを活用したSCADAソフトウェアへの認証ソリューションです。
※SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)とは、監視制御ソフトウェアプラットフォームを指します。SCADAの代表的な例として、後述する「zenon」があります。
※データインテグリティついてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事「データインテグリティ(DI)とは?対応が必要な理由と対策を分かりやすく解説!」も併せてご覧ください。
生体認証ウェアラブルデバイス「Nymi Band」との連携でSCADAソフトウェア「zenon」の認証を革新
「Nymi band」と「zenon」の連携インターフェースを開発
指紋情報を記録するICチップ内蔵のリストバンド型ウェアラブルデバイス「Nymi Band」を、SCADAソフトウェア「zenon」のログインや電子署名に利用できるインターフェースを開発しました。
zenonとの連携で実現する機能
生体認証によるログイン
- パスワード不要、ICカード不要
- なりすまし・共有ログインを防止
生体認証を活用した電子署名
- タッチ2秒でバッチ記録や変更履歴に真正性のある署名を付与。監査対応を簡素化(FDA 21 CFR Part 11、GMP、PIC/S準拠)
リアルタイムで認証状況をモニタリング(zenon 標準機能)
- 未登録者がアクセスすると即時ブロック
- データ改ざん・不正アクセスのリスクゼロへ
すでにSCADAソフトウェア「zenon」をお使いのお客様、もしくは、これから導入を検討されているお客様につきましても、Nymi Bandを導入できます。
※生体認証ウェアラブルデバイス「Nymi Band」についてもっと詳しく知りたい方は、こちら「Nymi Band」も併せてご覧ください。
※COPA-DATA Japanが提供するSCADAソフトウェア「zenon」についてもっと詳しく知りたい方は、こちら「COPA-DATA Japan Webサイト」をご覧ください。
医薬品業界におけるNymi Bandとzenon 連携のメリット
データインテグリティの強化
- 生体認証によるログイン・署名で、データの改ざんを未然に防止
- 監査対応が容易になり、GMP / FDA規制を満たす体制を構築可能
- なりすましや誤入力を防止し、トレーサビリティを向上
業務効率の向上
- パスワード管理・ICカードの運用が不要になり、工数を削減
- Nymi Bandはハンズフリー認証が可能(手袋装着時でも認証OK)
- システム管理者の負担を軽減し、オペレーションを最適化
コンプライアンス対応の強化
- FDA 21 CFR Part 11準拠の電子署名を実装
- EU GMP Annex 11, PIC/S GMPガイドラインに適合
今後の展望:医薬品業界の様々な現場へ
この技術は、医薬品業界におけるスマートファクトリー化の基盤として、さらなる発展が期待されています。
Nymi Bandとzenonは、製造現場だけでなく、たとえば研究開発部門も含めた医薬品開発・製造全体への応用も考えられます。
Nymi Bandは、医薬品業界のデータインテグリティを担保しながら、より効率的で安全な体制を構築するためのキー技術となるでしょう。
まとめ:データインテグリティを支える次世代認証技術
生体認証ウェアラブルデバイス「Nymi band」との連携により、SCADAソフトウェア「zenon」の認証手段が大きく進化しました。「Nymi Band」を活用することで、下記のような様々なメリットが生まれます。
- 医薬品製造におけるデータインテグリティを確保
- GMP / FDA 21 CFR Part 11準拠の運用が可能
- 業務効率を向上し、監査対応の負担を軽減
今回紹介させていただいた事例のような生体認証技術と製造監視システムなどとの融合が今後加速していき、データインテグリティを実現した、”製造現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)”がさらに進むと期待されています。
貴社の製造現場にも、この最先端技術を導入しませんか?